センター1日目、お疲れさまでした

2009年、センター国語が終わりました。
大手予備校の速報を読む限りでは、評論が難化+小説は昨年並み、ということのようですね。

評論文ですが、今回は典型的な「マクロ型」だと言えます。ふだん私の授業を受けている生徒さんは「むふふふふ」と思わず笑みがこぼれたのではないでしょうか。いやあ、イシハラは「マクロ好き」ですもんね。(笑)


さて、リクエストに応えて評論文の方を解説してみます。昨日のブログの検証にもなりますしね。(ああ、ちょっとどきどき)


問2 →「複数オニ」・「陣オニ」=「仲間のもとに帰ることが想定されていない」(これが「裏切り」・「自分だけ助かれば」)、と「社会に復帰......完全に欠いてしまっている」(直前に対応表現)とある選択肢3で決まりです。これはそれほど難しくなかったでしょう。とはいえ、最初の問題は「主題への誘導」であることが多いので、慎重に解きましょう。

これが確実に解ければ、

問3 →「複数オニ」・「陣オニ」(ともに問2)・「高オニ」・「人生ゲーム」(問3で初出)......は同じコスモロジー(世界観)を持つ遊びです。その内容は直後に並列されているように「私生活主義」・「競争民主主義」、そして「管理社会......を骨格に持つ」ことですから、「他者と競争」し、「成功を利己的に」(人生ゲームの目的は「人生の階段を上昇」すること!)......というフレーズですぐ選択肢3に決まってしまいますね。「仲間との関係」に注目させた問2からの誘導が、とても効果的です。
念のために他の選択肢を検討すると、選択肢2は「寂しさ」はあっても利己的な「成功」のニュアンスがないので不十分ですし、選択肢4は「信頼」がNGワードになっています。

これ、昨日のブログです。最近の授業では、いつもこの話してますよね。(笑)
でも、これが「マクロな問題」の宿命なんです。
# センター国語の選択肢は、他の設問の答と矛盾しないものを優先するべし。問題数が少ないから、問う内容がどうしても重複しやすいのだ。これを逆手にとった方法。


問4は、文章の前半と後半を分ける問いです。
問2・3=「管理社会のコスモロジー」。これ、上でやったばかりですよね?キーワードは「私生活」と「競争」と「成功」。
そして、問4は、「管理社会のコスモロジー(=商業主義のコスモロジー)」に飽きてしまった子供たちが、「もう一つのコスモロジー」に「意図しないで」気づく、という部分に注目させようとしています。「管理社会のコスモロジー」「もう一つのコスモロジー」も、子供たちの身体を通じて現れるものなんですね。

問4の選択肢3は「自省」がダメです。正しくは「意図しないで」。同じく選択肢4は「同時に......離脱」まではしていません。これも正しくは「出会う場合がある」という控えめな表現でした。だから選択肢2の「可能性」がいいんです。

おさらいついでに、これも昨日のブログから。
#「選択肢どうしを比較して、どちらかだけにあるもの(あるいは逆に欠けているもの)を探す」→「その《違い》を中心にチェックする


ここまでマクロに読んできた人は、もうわかってますよね?問5は「管理社会(=市民社会=商業主義)のコスモロジー」の逆の話なんです。

だから、問2〜4に出てきた「管理社会のコスモロジー」の逆のことばをキーワードにしないと、前半と後半の対比がはっきりわかりません。つまり「友人との共同性の有無をポイントにすればいい、とこうなります。あとは選択肢を比較して、ズレた部分を探しましょう。
選択肢3は「共同性を強いる社会」とあって、本文と内容が正反対。選択肢1は「仲間を哀れむ」・「優しさをもち続ける」でもニュアンスはそれなりに伝わるとはいえ、「管理社会のコスモロジー」と対比されているというマクロな特徴が、これでははっきりしなくなるでしょ?
だから、「連帯感」、「競争......逃れる」、「共同性」を含む選択肢4が絶対に答えになるのです。

つまり、このアドバイス。
センター試験の文章はけっこう難しい。「わかる」ことではなく「文章のつじつまが合うような選択肢を見つける(ちゃんと解けているときは、正解の選択肢が全体の要約になっている)」ことに集中しよう!


問6も、要領は同じ。
ただ、「まとめ」部分は、自分の表現にこだわると失敗します。まずは、本文と照らし合わせて、きちんと消去できたかどうかがカギですね。
選択肢1→「数多く」が不明。
選択肢2→藤田氏と筆者は対比関係ではありません。
選択肢3→「具体例」は「現実性」を持たせるものでしょう、そりゃあ。(不安なら後回しでいいよ)
選択肢4→どう全体を読んでも「大人」対「子供」という図式では書かれていないですよねえ?
選択肢5→「/」を入れてみると簡単かも。「子供の遊び......本質的な意味......を表す比喩として」/「......『市民社会』や『管理社会』を」/「とりあげている」。 つまり、論の中心は「子供の遊び」です、ということですね。......え、そうでしたっけ?(笑)
選択肢6→「......身近な題材を取り上げることで」/「現代人にとっての......『管理社会』がもつ意味や性格を」/「説明しようとしている。つまり、こっちは論の中心が「管理社会」だと言っています。選択肢3が正しいなら、間違いなく子供の遊びは例に過ぎないわけで、当然選択肢6が正解になるでしょう。


さて、これで解説はおしまいです。

センター評論文は、「早稲田・法・教育」「上智大学全般」、さらには「立教大学全般」など、マクロ型の問題を出す大学の受験生にとって、大切な大切な演習問題になります。
センター試験は明日も続きますが、試験が終わったら気持ちを切り替えて、私大、国立二次対策をすぐにスタートさせて下さい。


大丈夫。イシハラも、ちゃんとそばにいます!

YES,WE CAN!

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