入試問題は、やみくもに解けばいいってものじゃない

受験生のみなさん、こんにちは。いよいよ本番間近になりましたね。
国語も基礎は仕上がって、問題演習で実戦感覚を研ぎ澄ませようとしている時期でしょうか。

最後の仕上げに過去問を、というのは誰もが思うことです。
ここでは、過去問の効果的な使用法をお伝えすることにしましょう。

◆過去問の正しい利用法
過去問の使用法にそんな違いはないだろう、そう思っている人は多いでしょう。
ではまず、受験生の典型的な使用パターンを二つほど紹介します。

まず、「第一志望の過去問をとにかく解く」というもの。
それから、志望校の問題を並べて、「偏差値の低い方から順に解いていく」、というもの。
これまでの経験では、毎年ほとんどの受験生がこのどちらかのパターンに従って過去問を解いているようです。

しかし、「みんながそうしているから」というのは、べつだん正当性とは関係ありません。
受験勉強には第一志望に合格する、という明確な目標があるわけですから、「その勉強は第一志望への合格率を上げるものか?」とつねに問いかけることが必要です。

この視点から先にあげた2パターンを検討してみましょう。

まず、「過去問をたくさん解く」派から。
もちろんすでにちゃんと解けるだけの実力があるなら、どんどん解きましょう。この時期は「根性」や「努力」という汗臭いキーワードがなかなか有効です。
しかし、第一志望はギリギリで届かないからこそ第一志望なわけで、今の時期でもまだ解けない、あるいは出来にムラがある、という方がふつうです。

こんなとき、どんどん過去問を解くのはかえって非効率的です、自分の実力とかけ離れた問題をたくさん解いても、身につくものはほんの少しでしかありません。

一番いいのは、「自分の実力に近い」+「志望大学に傾向が似ている」問題を集めて解くことでしょう。
と言っても、そんなにつごうのいい問題集はなかなかありません。だから、他大学の入試問題を活用するんです。(後述)


次に、「受験校の問題を、簡単なところからどんどん解いていく」派はどうでしょうか。
これも一見システマティック(体系的)な方法のようですが、じつは全然そうではありません。というのも、入試問題は偏差値が5違うと、がらりと傾向を変えてしまうからです(たとえば同じ著者の同じ文章を出題していたとしても、東大と地方の私立大ではかなり設問の難易度も傾向も違う、ということです)。

志望校どうしである程度傾向が似ているなら、ムダは減るでしょう。しかし、出題傾向がまったく違う大学を偏差値と通いやすさだけで選んでしまったら、これはかなり大変なことになります。
・第一志望校用の対策
・第二志望校用の対策
・順当校用の対策
・押さえ校用の対策
......これ、全部別々にすることを考えてもらえればわかりますよね?
「落ちたくない」からといって、すべてを取りこぼさないような対策を立てていたのでは、けっきょくすべてが中途半端になってしまうんです。


ではどうすればいいのか?
先にも指摘したとおり、「自分の実力に近い」+「志望大学に傾向が似ている」問題を集めて解くことが一番効率的でしょう。そのためには、大学入試問題をある基準から整理しておくことが必要になります。



1 入試問題は、全体の文脈を根拠にする「マクロな視点」からの設問と、知識の確かさや細部の正確な分析を問う「ミクロな視点」からの設問があります。

たとえば「篤姫」を一年間観て、そのあらすじをまとめるような問いが「マクロ」で、ある回の話を観て「なぜ篤姫は泣いているのか」をその回の話だけで答えさせるような問いが「ミクロ」です。総合的な視点と分析的な視点、と言ってもいいでしょう。


2 また課題文も、「存在とは何か」、「時間とは何か」のように、簡単にイメージできないような内容を扱った「抽象的な文章」と、「旅行記」や「身辺雑記」のように具体的体験に根ざした「具体的な文章」に分けることができます。


過去問を学力を付けるための教材と割り切ってとらえるならば、「マクロ↔ミクロ」、「抽象↔具体」によって作られた座標の位置が似ている問題を合わせて解くことで、志望校対策が可能になります。
(下図参照)


【利用法】
1 まず下の図から自分の第一志望校を見つけてください。

大切なのは、志望校の周辺に位置づけられる大学です。
図表の位置が近いほど似た傾向の問題を出題するわけですから、その大学を受験する・しないとはまったく無関係に、周辺にある大学の入試問題を「自分の第一志望攻略用の問題」として利用すればよいのです!


2 では、さっそく入試問題をダウンロードしましょう

練習問題はこちらから入手してください(クリックすると、リンクが開きます)。問題番号は、図表にあるマルで囲まれた番号と同じです。


3 どの問題からはじめればいいの?

問題は(あくまで一般論ですが)ミクロ<マクロ、具体<抽象、の方向に難易度が増していきます。ですから、図表の「左から右へ」+「下から上へ」解いていくのがいいでしょう。

たとえば、早稲田の法学部なら7→6→5→(4)→(3)→2→1、というラインが考えられます。( )がついているのは、上智やセンターの追試は文章の難易度が案外高いので、時間がないなら省略してもいいだろう、という判断です。わからない点があったら遠慮なくメールを下さい。




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