リクエストが多かったので、ケータイ用「現代文評論用語集」も試作してみました。
ただ、できることの制約が多いので(たとえば索引などを作るのはムリ)、できるだけPC用の「用語集」をダウンロードして利用することをお薦めします。
例えば友人にhttp://genbun.jpを教えてダウンロードしてもらうとか。(^-^)
このStep1は「評論用語の効率的な覚え方」を扱います。石原の著書・『一生使える国語力』第三章とも重複する内容が多いので、疑問点があったらそちらも参考にしてください。
ただ、できることの制約が多いので(たとえば索引などを作るのはムリ)、できるだけPC用の「用語集」をダウンロードして利用することをお薦めします。
例えば友人にhttp://genbun.jpを教えてダウンロードしてもらうとか。(^-^)
このStep1は「評論用語の効率的な覚え方」を扱います。石原の著書・『一生使える国語力』第三章とも重複する内容が多いので、疑問点があったらそちらも参考にしてください。
ステップ1 評論用語の覚え方
評論用語を学ぶ前に、ちょっとしたチェックテストでいま現在の実力を確かめておこう。
まずは大学入試に良く出る反対語(対義語)を並べるから、わかったものを紙にでも書いてみてほしい。
(例題1)【制限時間3分】
空欄□□には上段の言葉と反対の意味になる言葉が入ります。漢字で正確に書いてください。
1 主観(しゅかん)
評論用語を学ぶ前に、ちょっとしたチェックテストでいま現在の実力を確かめておこう。
まずは大学入試に良く出る反対語(対義語)を並べるから、わかったものを紙にでも書いてみてほしい。
(例題1)【制限時間3分】
空欄□□には上段の言葉と反対の意味になる言葉が入ります。漢字で正確に書いてください。
1 主観(しゅかん)
←→□□
2 未知(みち)
2 未知(みち)
←→□□
3 潜在(せんざい)
3 潜在(せんざい)
←→□□
4 直接(ちょくせつ)
4 直接(ちょくせつ)
←→□□
5 能動(のうどう)
5 能動(のうどう)
←→□□
6 巨視的(きょしてき)
6 巨視的(きょしてき)
←→□□的
7 虚構(きょこう)
7 虚構(きょこう)
←→□□
8 必然(ひつぜん)
8 必然(ひつぜん)
←→□□
9 理性(りせい)
9 理性(りせい)
←→□性
10 原因(げんいん)
10 原因(げんいん)
←→□□
さて、できたかな?
では、答え合わせと解説をしていこう。
(解答)
1 客観(きゃっかん)
「主」は「自分からする」、「客」は「主に〜される(受ける)」という意味がある。ここでは、主と客が逆の意味を持つ「ペア」になっているのだとわかればいい。
☆主観=物事をとらえる(人間の)心の働き。「主観的」となると、「その人だけの」という意味になり、「視野が狭い」というニュアンスが出てくる。
☆客観=主観によって見られるもの。心のない物体のこと。「客観的」となると、「誰が見ても同じ/特定のものの見方に縛られていない」という意味になる。
2 既知(きち)
「未」は「まだ〜ない」、「既」は「すでに〜ある」。時間の流れのなかで「ある」か「ない」かを比べる漢字のペア。ほかにこのペアを使った熟語も多い。
☆未知=今のところ、まだ知らないということ。
☆既知=今では、すでに知っているということ。
3 顕在(けんざい)
「潜(せん)」は「ひそむ、かくれていること」、「顕(けん)」は「現れている、明らかになっていること」。
☆潜在=物事が外に現れていないこと。
☆顕在=物事が外に現れていること。
4 間接(かんせつ)
「直」は「じかに、間に何もはさまないこと」、「間」は「二つのもののあいだ」。
☆直接=他に何もはさまずじかに接していること。
☆間接=あいだに仲立ちを置いて接すること。
#二つのものの接し方については直←→間でよいが、他にも、直←→曲(まっすぐなようす/曲がったようす)、直←→傍(中心にある/中心を外れている)などもペアになって熟語を作る。
5 受動(じゅどう)
「能」は「はたらきかける」、「受」は「動作をうける」。
☆能動=自分から他のものに働きかけること。
☆受動=他からの働きかけを受けること。
6 微視(びし)
「巨」は「なみはずれて大きい」、「微」は「きわめて小さい」。
☆巨視=物事を広い視野から大きくとらえること。=macroscopic
☆微視=物事の細かい点に注意してとらえること。=microscopic
#「巨」はマクロ、「微」はミクロの訳語として使われている。「政局をマクロに見る」なんて言う場合がそう。
7 現実
「虚」は「中身がない/からっぽなこと」、「実」は「中身がみちていること」。
☆虚構=頭のなかで考えられた作り事。フィクション。
☆現実=実際にある状態や事実。
#ノンフィクションは「作り事でない」という意味で、「伝記/歴史/随筆」などをさす。筆者の視点による再構成なので「ありのままの現実」というわけではないことに注意。
8 偶然(ぐうぜん)
「必」は「必ず、まちがいなく」、「偶」は「たまたま、思いがけなく」。
☆必然=必ずある出来事が起きること(同じ条件なら次の回も同じことが起きる)。
☆偶然=たまたまある出来事が起きること(同じ条件でも次の回には起きないかも知れない)。
9 感(性)
「理」は「物事のすじみち、ことわり」、「感」は「体で感じ取る働き」。つまりこの二つは「考えること」と「感じること」、あるいは「頭」と「体」のニュアンスを持つペアなんだね。
☆理性=物事を論理的に考えることのできる能力。→精神の働き!
☆感性=理屈ではない部分をとらえることのできる能力。感受性。→身体の働き!
#「理」の意味から、「合理」=「理屈に合った」、「真理」=「本当に正しい考え方」などの意味もわかる。
10 結果
「因」は「もとになるもの」、「果」は「物事の終わり、結末」。
☆原因=「物事の生じるもとになるもの」。
☆結果=「物事によって生じた状態や物」。
#「因果」=「原因と結果」のこと。文章を読むときにはある出来事の何が原因で結果なのか、その順番をきちんと考えるようにしよう。
さて、では第二弾。先ほどと同じく、空欄に漢字を埋めて左右の言葉が対になるようにしてください。
(例題2)【制限時間3分】
11 具体(ぐたい)
さて、できたかな?
では、答え合わせと解説をしていこう。
(解答)
1 客観(きゃっかん)
「主」は「自分からする」、「客」は「主に〜される(受ける)」という意味がある。ここでは、主と客が逆の意味を持つ「ペア」になっているのだとわかればいい。
☆主観=物事をとらえる(人間の)心の働き。「主観的」となると、「その人だけの」という意味になり、「視野が狭い」というニュアンスが出てくる。
☆客観=主観によって見られるもの。心のない物体のこと。「客観的」となると、「誰が見ても同じ/特定のものの見方に縛られていない」という意味になる。
2 既知(きち)
「未」は「まだ〜ない」、「既」は「すでに〜ある」。時間の流れのなかで「ある」か「ない」かを比べる漢字のペア。ほかにこのペアを使った熟語も多い。
☆未知=今のところ、まだ知らないということ。
☆既知=今では、すでに知っているということ。
3 顕在(けんざい)
「潜(せん)」は「ひそむ、かくれていること」、「顕(けん)」は「現れている、明らかになっていること」。
☆潜在=物事が外に現れていないこと。
☆顕在=物事が外に現れていること。
4 間接(かんせつ)
「直」は「じかに、間に何もはさまないこと」、「間」は「二つのもののあいだ」。
☆直接=他に何もはさまずじかに接していること。
☆間接=あいだに仲立ちを置いて接すること。
#二つのものの接し方については直←→間でよいが、他にも、直←→曲(まっすぐなようす/曲がったようす)、直←→傍(中心にある/中心を外れている)などもペアになって熟語を作る。
5 受動(じゅどう)
「能」は「はたらきかける」、「受」は「動作をうける」。
☆能動=自分から他のものに働きかけること。
☆受動=他からの働きかけを受けること。
6 微視(びし)
「巨」は「なみはずれて大きい」、「微」は「きわめて小さい」。
☆巨視=物事を広い視野から大きくとらえること。=macroscopic
☆微視=物事の細かい点に注意してとらえること。=microscopic
#「巨」はマクロ、「微」はミクロの訳語として使われている。「政局をマクロに見る」なんて言う場合がそう。
7 現実
「虚」は「中身がない/からっぽなこと」、「実」は「中身がみちていること」。
☆虚構=頭のなかで考えられた作り事。フィクション。
☆現実=実際にある状態や事実。
#ノンフィクションは「作り事でない」という意味で、「伝記/歴史/随筆」などをさす。筆者の視点による再構成なので「ありのままの現実」というわけではないことに注意。
8 偶然(ぐうぜん)
「必」は「必ず、まちがいなく」、「偶」は「たまたま、思いがけなく」。
☆必然=必ずある出来事が起きること(同じ条件なら次の回も同じことが起きる)。
☆偶然=たまたまある出来事が起きること(同じ条件でも次の回には起きないかも知れない)。
9 感(性)
「理」は「物事のすじみち、ことわり」、「感」は「体で感じ取る働き」。つまりこの二つは「考えること」と「感じること」、あるいは「頭」と「体」のニュアンスを持つペアなんだね。
☆理性=物事を論理的に考えることのできる能力。→精神の働き!
☆感性=理屈ではない部分をとらえることのできる能力。感受性。→身体の働き!
#「理」の意味から、「合理」=「理屈に合った」、「真理」=「本当に正しい考え方」などの意味もわかる。
10 結果
「因」は「もとになるもの」、「果」は「物事の終わり、結末」。
☆原因=「物事の生じるもとになるもの」。
☆結果=「物事によって生じた状態や物」。
#「因果」=「原因と結果」のこと。文章を読むときにはある出来事の何が原因で結果なのか、その順番をきちんと考えるようにしよう。
さて、では第二弾。先ほどと同じく、空欄に漢字を埋めて左右の言葉が対になるようにしてください。
(例題2)【制限時間3分】
11 具体(ぐたい)
←→□□
12 現象(げんしょう)
12 現象(げんしょう)
←→□□
13 絶対(ぜったい)
13 絶対(ぜったい)
←→□□
14 人工(じんこう)
14 人工(じんこう)
←→□□
15 文明(ぶんめい)
15 文明(ぶんめい)
←→□□
16 権利(けんり)
16 権利(けんり)
←→□□
17 分析(ぶんせき)
17 分析(ぶんせき)
←→□□
18 普遍(ふへん)
18 普遍(ふへん)
←→□□
19 模倣(もほう)
19 模倣(もほう)
←→□□
20 秩序(ちつじょ)
20 秩序(ちつじょ)
←→□□
11 抽象(ちゅうしょう)
「具体」の「具」は「そなえ持つ」、「体」は「かたち」のこと。また「抽象」の「抽」は「引きだす(←抽選、とか)」、「象」は「形」のこと。以上から、ありのままの姿をまるごととらえたら「具体」で、一部分だけをとりだしたり、共通点をまとめたりしたら「抽象」だ、というニュアンスを読み取ることができる。
☆具体=形☆姿を備えた実在するもの。=具象(芸術分野で使う)
☆抽象=物事から共通点をとりだしてまとめること。
12 本質(ほんしつ)
「現象」は「現」=「あらわれた」、「象」=「かたち」と読む。同様に「本質」は「本」=「もとになっている(欠かせない)」、「性質」と読む。ぱっと見が「現象」で、分析してやっとわかるのが「本質」というイメージを持っておくと良い。
☆現象=目や耳などによってとらえられる表面的なもの。本質に対して「見かけの」、という意味で用いる。
☆本質=個々の現象の背後にあって、それらを成り立たせるもの。理性の目でとらえることができる。
#リンゴやミカンが落ちるのは「現象」。動物はその現象しか見えないが、人間であるニュートンは理性を用いて、「その本質は万有引力なのだ!」と見抜いた。
13 相対(そうたい)
「絶対」は、「対(つい=ペアになるもの)」を「絶つ」と読む。反対に「相対」は、「相」=「おたがいに」・「対」=「対になる(ペアになる)」と読む。
わかりにくいときは、あるものが成り立つために、「他のものと比べる必要があるのか、ないのか」と考えてみよう。たとえば、テストが70点だとしたら、それは他人と比べても変わらない点数だから「絶対評価」、ところが偏差値はクラスの平均点によって変わるから「相対評価」となる。
☆絶対=他のものから独立した、唯一のものであること。
☆相対=他のものとの関係によって成り立っていること。
14 自然(しぜん)
「人工」は「人」が「つくる(=工)」という意味。「自」は「おのずから」で、誰かが手を加えたりしていない様子を表す。
☆人工=人間が手を加えて作ること。
☆自然=人間が手を加えないありのままの様子。=天然。
#環境について述べた評論では、これらの用語が単純に反対なのではなく、「自然」もまた人間が手を加えて作ったものだという点が強調される。
15 未開(みかい)
「未開」は「いまだ(=未)開かれていない」こと。ここで言う「開かれる」は「(西洋)文明」が入ってくることだから、両者は対義語になる。
☆文明=人間が科学技術により生み出した豊かな社会。合理的なものが重視され、また精神的なものより物質的なものが優位に立つ。「文化」が精神的な面を指すのに対して、文明はモノの豊かさを中心に論じることが多い。
☆未開=まだ文明社会の生活習慣が入り込んでいない状態。理屈より感情、合理より習慣や信仰が大切な社会。
#文明をきちんと定義するのは難しい。とりあえず僕らの生きている社会=近代社会のあり方だと考えておこう。この定義だと、精神的な部分も、物質的な部分も、両方と関係ある制度の部分も、ぜんぶ含まれていることになるが、細かいことはまた後で説明する。
16 義務(ぎむ)
「権利」のポイントは「自らの意思で」、「義務」のポイントは「自分の意思に関わらず」、というところ。
☆権利=自分の意思で、ものごとを自由に行うことができる資格。
☆義務=法律や道徳に従って、それぞれの立場上当然しなくてはならないこと。
17 総合
「分析」の「分」も「析」も「バラバラにする」という意味。「総合」は「総(=すべて)」を「合わせる」こと。
☆分析=物事をいろいろな要素に分けて、その性質を明らかにしていくこと。
☆総合=色々な要素をまとめあげて統一すること。=綜合。
#なにかを理解しようとするときに、それを作る部分に「分けて考える」のが「分析」で、その部分をあるルールに従って「まとめて考える」のが「総合」。
18 特殊(とくしゅ)
「普遍」は「普」も「遍」も「例外なくあてはまる、あまねくゆきわたる」という意味がある。反対に「特殊」は「限られた特別なもの」。この「全体ではない」というニュアンスから、「個別」も「普遍」の反対語になる。
☆普遍=すべてのものに共通してあてはまること。
☆一般=広く全体に共通して認められる傾向。「普遍」と違って例外が許される。
☆特殊=特定のものにしか当てはまらないこと。
☆個別=一つずつ独立したもの。
19 創造(そうぞう)
「模倣」の「模」も「倣」も、「まねる」という意味であり、「創造」は「創」も「造」もともに「こしらえる」という意味である。
☆模倣=すでに存在するものをまねること。
☆創造=それまでにないものを新しく作り出すこと。
#マニュアル通りにするのが「模倣」、自分でつくり出すのが「創造」。日本人は「模倣」が上手いと言われる。
20 混沌(こんとん)
「秩序」の「秩」も「序」も「ものごとの順序」を表し、そこから「社会の規則」や「調和」という意味になる。「混沌」の「混」は「まじりあうようす」で、「沌」は「形をもたないようす」。
☆秩序=あるルールに従い調和を保っている状態。=コスモス(cosmos)。
☆混沌=全体をまとめるルールのないバラバラな状態。=カオス(chaos)。
#ボールがバラバラに放り出してあるのは「混沌」、一〇個ずつ箱に入れてしまったら「秩序」、というイメージ。
さて、最初に反対語を持ってきたのにはわけがある。
それは、どうせ覚えなくてはならないことなら、無駄なく効率的に覚えて欲しいと思っているからだ。
現代文が苦手な人ほど「知識」を丸暗記しようとする傾向がある。確かに何も考えずに覚える方が、形だけは残るし、はかどるように見えるものね。
でも、そんなことをして、なんの意味があるんだろう?
現代文で本当に役に立つ知識は、その意味と働き(用法)をしっかりと理解できているものだけなんだ。かといって、「丸暗記しているだけ」なのか「ちゃんと意味まで分かっている」のか、という理解度は、なかなか自分では区別できないだろう。
いや、じつは理解しているかどうかはあんがい簡単にチェックできる。「反対の意味になる言葉」と「似た意味の言葉」をしっかり言えればいいんだ。意味が分かっていないときは、その反対の言葉を聞かれても上手く答えられない。
ようするに、評論用語を使いこなすための近道は、
「反対語や類義語と結びつけて覚える」
こと。これから評論用語を覚えようとする人は、面倒がらず、きちんと確認しながら覚えてほしい。最初はめんどうに思えても、結局はそれがいちばん確実な方法なんだ。
では、次の問題。
(例題2)【制限時間5分】
では、次にあげる言葉の意味を、後にあげる選択肢から選んでください。
1 合理(ごうり)
2 観念(かんねん)
3 分析(ぶんせき)
4 内発(ないはつ)
5 普遍(ふへん)
6 隠喩(いんゆ)
7 幻想(げんそう)
8 保守(ほしゅ)
9 作為(さくい)
10 媒介(ばいかい)
(選択肢)
a すべてのものに共通してあてはまること。
b 昔から伝わる風習・伝統を重んじ、守り続けようとする立場。
c 頭のなかに浮かんでくる習慣的イメージ。
d 考え方が理屈に合っていること。
e 二つのものの間に立って両方を結びつけるもの。
f 強制でなく、ものごとが自分の内からの欲求によって起きるようす。
g 見かけを整えるためにわざわざ手を加えること。
h 現実にあり得ないことを心に思い浮かべること。
i たとえであることを明確に示さないたとえ方。
j 複雑なものをいくつかの要素に分けて考えること。
では、答え合わせをしていこう。
1=d・「考え方が理屈に合っていること。」
「合理」の「理」は「理屈」の「理」。「理」には「すじみち」という意味がある。
このように熟語を作っている漢字に注目すると、用語のニュアンスをつかむことが簡単になる。
2=c・「頭のなかに浮かんでくる習慣的イメージ。」
「念」には「心の中で思う」という意味がある。「理念」や「概念」、「信念」などもすべてこの「心で思う」という意味を持っている。共通する漢字に注目すると、未知の言葉でも、大まかな意味をつかむことは難しくない。
3=j・「複雑なものをいくつかの要素に分けて考えること。」
「分」は「まとまりのあるもの」を「分ける」という意味。「析」も同じく「分ける」だが、こっちは無視してもいい。
4=f・「強制でなく、ものごとが自分の内からの欲求によって起きるようす。」
「内発」=「内」側から「発生」するという意味。
5=a・「すべてのものに共通してあてはまること。」
「普遍」の「普」は、「普通」や「普及」の「普」。これだけでもだいたいの意味は推測できないだろうか?「普」=「広くいきわたる」、「遍」=「あまねくいきわたる」。だから、まさに「すべて」に「共通」となる。
6=i・「たとえであることを明確に示さないたとえ方。」
「隠」は「隠れた」、「喩」は「たとえる」こと。反対は「直喩・明喩」。語句のニュアンスは反対語を知るといっそうわかりやすくなるだろう。
7=h・「現実にあり得ないことを心に思い浮かべること。」
「幻」は「まぼろし」、「想」は「想像」などで分かるように「心にイメージを思い浮かべること」である。
8=b・「昔から伝わる風習・伝統を重んじ、守り続けようとする立場。」
「保」は「そのままにしておくこと」、「守」も「そのままに守ること」。昔からあるものを変えないようにするのが「保・守」で、変えていこうとするのが「革新」。
9=g・「見かけを整えるためにわざわざ手を加えること。」
「作」は「こしらえる」、「為」はここでは「つくる(とりつくろう)」の意味になる。
10=e・「二つのものの間に立って両方を結びつけるもの。」
「媒」は「なかだち」という意味がある。「触媒しょくばい」とか「霊媒れいばい」なんていうのは「二つのものを結びつける」ものだろう。「介」も「間にはさまる」という意味がある。「紹介」とか「仲介」なんて、まさにそうだよね?
この例題のねらいは、用語を覚えるとき
使われている漢字の意味に注目する
クセをつけてもらおう、ということ。
この方法をマスターすれば、はじめて見る熟語でも、同じ漢字を用いた熟語から意味を推理することができるようになる。しまいには、覚えていなくてもその場で考えれば意味が分かるようになる(ホントに)。そうなれば、現代文の成績も安定してきて、下がることはなくなっているだろう。
(この章のまとめ)
1 評論用語は「反対語」と「同義語」をいつもセットで覚えるようにする!
2 評論用語を作っている漢字の意味に注目すると、意味を推理しやすくなる!
次の章からかたくるしい話が続くけれど、この章でマスターした方法をもとに、効率よく勉強していこう!
11 抽象(ちゅうしょう)
「具体」の「具」は「そなえ持つ」、「体」は「かたち」のこと。また「抽象」の「抽」は「引きだす(←抽選、とか)」、「象」は「形」のこと。以上から、ありのままの姿をまるごととらえたら「具体」で、一部分だけをとりだしたり、共通点をまとめたりしたら「抽象」だ、というニュアンスを読み取ることができる。
☆具体=形☆姿を備えた実在するもの。=具象(芸術分野で使う)
☆抽象=物事から共通点をとりだしてまとめること。
12 本質(ほんしつ)
「現象」は「現」=「あらわれた」、「象」=「かたち」と読む。同様に「本質」は「本」=「もとになっている(欠かせない)」、「性質」と読む。ぱっと見が「現象」で、分析してやっとわかるのが「本質」というイメージを持っておくと良い。
☆現象=目や耳などによってとらえられる表面的なもの。本質に対して「見かけの」、という意味で用いる。
☆本質=個々の現象の背後にあって、それらを成り立たせるもの。理性の目でとらえることができる。
#リンゴやミカンが落ちるのは「現象」。動物はその現象しか見えないが、人間であるニュートンは理性を用いて、「その本質は万有引力なのだ!」と見抜いた。
13 相対(そうたい)
「絶対」は、「対(つい=ペアになるもの)」を「絶つ」と読む。反対に「相対」は、「相」=「おたがいに」・「対」=「対になる(ペアになる)」と読む。
わかりにくいときは、あるものが成り立つために、「他のものと比べる必要があるのか、ないのか」と考えてみよう。たとえば、テストが70点だとしたら、それは他人と比べても変わらない点数だから「絶対評価」、ところが偏差値はクラスの平均点によって変わるから「相対評価」となる。
☆絶対=他のものから独立した、唯一のものであること。
☆相対=他のものとの関係によって成り立っていること。
14 自然(しぜん)
「人工」は「人」が「つくる(=工)」という意味。「自」は「おのずから」で、誰かが手を加えたりしていない様子を表す。
☆人工=人間が手を加えて作ること。
☆自然=人間が手を加えないありのままの様子。=天然。
#環境について述べた評論では、これらの用語が単純に反対なのではなく、「自然」もまた人間が手を加えて作ったものだという点が強調される。
15 未開(みかい)
「未開」は「いまだ(=未)開かれていない」こと。ここで言う「開かれる」は「(西洋)文明」が入ってくることだから、両者は対義語になる。
☆文明=人間が科学技術により生み出した豊かな社会。合理的なものが重視され、また精神的なものより物質的なものが優位に立つ。「文化」が精神的な面を指すのに対して、文明はモノの豊かさを中心に論じることが多い。
☆未開=まだ文明社会の生活習慣が入り込んでいない状態。理屈より感情、合理より習慣や信仰が大切な社会。
#文明をきちんと定義するのは難しい。とりあえず僕らの生きている社会=近代社会のあり方だと考えておこう。この定義だと、精神的な部分も、物質的な部分も、両方と関係ある制度の部分も、ぜんぶ含まれていることになるが、細かいことはまた後で説明する。
16 義務(ぎむ)
「権利」のポイントは「自らの意思で」、「義務」のポイントは「自分の意思に関わらず」、というところ。
☆権利=自分の意思で、ものごとを自由に行うことができる資格。
☆義務=法律や道徳に従って、それぞれの立場上当然しなくてはならないこと。
17 総合
「分析」の「分」も「析」も「バラバラにする」という意味。「総合」は「総(=すべて)」を「合わせる」こと。
☆分析=物事をいろいろな要素に分けて、その性質を明らかにしていくこと。
☆総合=色々な要素をまとめあげて統一すること。=綜合。
#なにかを理解しようとするときに、それを作る部分に「分けて考える」のが「分析」で、その部分をあるルールに従って「まとめて考える」のが「総合」。
18 特殊(とくしゅ)
「普遍」は「普」も「遍」も「例外なくあてはまる、あまねくゆきわたる」という意味がある。反対に「特殊」は「限られた特別なもの」。この「全体ではない」というニュアンスから、「個別」も「普遍」の反対語になる。
☆普遍=すべてのものに共通してあてはまること。
☆一般=広く全体に共通して認められる傾向。「普遍」と違って例外が許される。
☆特殊=特定のものにしか当てはまらないこと。
☆個別=一つずつ独立したもの。
19 創造(そうぞう)
「模倣」の「模」も「倣」も、「まねる」という意味であり、「創造」は「創」も「造」もともに「こしらえる」という意味である。
☆模倣=すでに存在するものをまねること。
☆創造=それまでにないものを新しく作り出すこと。
#マニュアル通りにするのが「模倣」、自分でつくり出すのが「創造」。日本人は「模倣」が上手いと言われる。
20 混沌(こんとん)
「秩序」の「秩」も「序」も「ものごとの順序」を表し、そこから「社会の規則」や「調和」という意味になる。「混沌」の「混」は「まじりあうようす」で、「沌」は「形をもたないようす」。
☆秩序=あるルールに従い調和を保っている状態。=コスモス(cosmos)。
☆混沌=全体をまとめるルールのないバラバラな状態。=カオス(chaos)。
#ボールがバラバラに放り出してあるのは「混沌」、一〇個ずつ箱に入れてしまったら「秩序」、というイメージ。
さて、最初に反対語を持ってきたのにはわけがある。
それは、どうせ覚えなくてはならないことなら、無駄なく効率的に覚えて欲しいと思っているからだ。
現代文が苦手な人ほど「知識」を丸暗記しようとする傾向がある。確かに何も考えずに覚える方が、形だけは残るし、はかどるように見えるものね。
でも、そんなことをして、なんの意味があるんだろう?
現代文で本当に役に立つ知識は、その意味と働き(用法)をしっかりと理解できているものだけなんだ。かといって、「丸暗記しているだけ」なのか「ちゃんと意味まで分かっている」のか、という理解度は、なかなか自分では区別できないだろう。
いや、じつは理解しているかどうかはあんがい簡単にチェックできる。「反対の意味になる言葉」と「似た意味の言葉」をしっかり言えればいいんだ。意味が分かっていないときは、その反対の言葉を聞かれても上手く答えられない。
ようするに、評論用語を使いこなすための近道は、
「反対語や類義語と結びつけて覚える」
こと。これから評論用語を覚えようとする人は、面倒がらず、きちんと確認しながら覚えてほしい。最初はめんどうに思えても、結局はそれがいちばん確実な方法なんだ。
では、次の問題。
(例題2)【制限時間5分】
では、次にあげる言葉の意味を、後にあげる選択肢から選んでください。
1 合理(ごうり)
2 観念(かんねん)
3 分析(ぶんせき)
4 内発(ないはつ)
5 普遍(ふへん)
6 隠喩(いんゆ)
7 幻想(げんそう)
8 保守(ほしゅ)
9 作為(さくい)
10 媒介(ばいかい)
(選択肢)
a すべてのものに共通してあてはまること。
b 昔から伝わる風習・伝統を重んじ、守り続けようとする立場。
c 頭のなかに浮かんでくる習慣的イメージ。
d 考え方が理屈に合っていること。
e 二つのものの間に立って両方を結びつけるもの。
f 強制でなく、ものごとが自分の内からの欲求によって起きるようす。
g 見かけを整えるためにわざわざ手を加えること。
h 現実にあり得ないことを心に思い浮かべること。
i たとえであることを明確に示さないたとえ方。
j 複雑なものをいくつかの要素に分けて考えること。
では、答え合わせをしていこう。
1=d・「考え方が理屈に合っていること。」
「合理」の「理」は「理屈」の「理」。「理」には「すじみち」という意味がある。
このように熟語を作っている漢字に注目すると、用語のニュアンスをつかむことが簡単になる。
2=c・「頭のなかに浮かんでくる習慣的イメージ。」
「念」には「心の中で思う」という意味がある。「理念」や「概念」、「信念」などもすべてこの「心で思う」という意味を持っている。共通する漢字に注目すると、未知の言葉でも、大まかな意味をつかむことは難しくない。
3=j・「複雑なものをいくつかの要素に分けて考えること。」
「分」は「まとまりのあるもの」を「分ける」という意味。「析」も同じく「分ける」だが、こっちは無視してもいい。
4=f・「強制でなく、ものごとが自分の内からの欲求によって起きるようす。」
「内発」=「内」側から「発生」するという意味。
5=a・「すべてのものに共通してあてはまること。」
「普遍」の「普」は、「普通」や「普及」の「普」。これだけでもだいたいの意味は推測できないだろうか?「普」=「広くいきわたる」、「遍」=「あまねくいきわたる」。だから、まさに「すべて」に「共通」となる。
6=i・「たとえであることを明確に示さないたとえ方。」
「隠」は「隠れた」、「喩」は「たとえる」こと。反対は「直喩・明喩」。語句のニュアンスは反対語を知るといっそうわかりやすくなるだろう。
7=h・「現実にあり得ないことを心に思い浮かべること。」
「幻」は「まぼろし」、「想」は「想像」などで分かるように「心にイメージを思い浮かべること」である。
8=b・「昔から伝わる風習・伝統を重んじ、守り続けようとする立場。」
「保」は「そのままにしておくこと」、「守」も「そのままに守ること」。昔からあるものを変えないようにするのが「保・守」で、変えていこうとするのが「革新」。
9=g・「見かけを整えるためにわざわざ手を加えること。」
「作」は「こしらえる」、「為」はここでは「つくる(とりつくろう)」の意味になる。
10=e・「二つのものの間に立って両方を結びつけるもの。」
「媒」は「なかだち」という意味がある。「触媒しょくばい」とか「霊媒れいばい」なんていうのは「二つのものを結びつける」ものだろう。「介」も「間にはさまる」という意味がある。「紹介」とか「仲介」なんて、まさにそうだよね?
この例題のねらいは、用語を覚えるとき
使われている漢字の意味に注目する
クセをつけてもらおう、ということ。
この方法をマスターすれば、はじめて見る熟語でも、同じ漢字を用いた熟語から意味を推理することができるようになる。しまいには、覚えていなくてもその場で考えれば意味が分かるようになる(ホントに)。そうなれば、現代文の成績も安定してきて、下がることはなくなっているだろう。
(この章のまとめ)
1 評論用語は「反対語」と「同義語」をいつもセットで覚えるようにする!
2 評論用語を作っている漢字の意味に注目すると、意味を推理しやすくなる!
次の章からかたくるしい話が続くけれど、この章でマスターした方法をもとに、効率よく勉強していこう!
長すぎ
読みにくい
少しは工夫しないとやる気にならねー
そうかなぁ
わかりやすくて良いと思うなぁ